新人のための電気の基礎知識(交流回路)

1A.数学の基礎知識(1)

1.1.数の分類
1.2.面積・体積
1.3.分数
1.4.比例
1.5.累乗・指数・平方根(ルート・√)
1.6.常用対数(log10
1.7.三角形の特徴
1.8.三角関数
1.9.複素数・ベクトル
1.10.グラフ(調整中)
1B.数学の基礎知識(2)

1.11.等式
1.12.因数分解
1.13.数列(Σ)・階乗
1.14.微分
1.15.積分
1.16.自然対数
   (オイラーの公式)



単位

・接頭語
・基本単位
・SI組立単位
・ギリシャ文字
2.直流回路

2.1.オームの法則
2.2.電力・熱エネルギー
2.3.直流回路の計算
2.4.電源(電池)の接続
3.磁気

3.1.電流と磁気の関係
3.2.磁力・磁束
3.3.磁性体
3.4.電磁誘導
4.静電気・コンデンサ

4.1.電子・静電気
4.2.クーロンの法則
4.3.コンデンサ
4.4.コンデンサの接続
5.交流回路

5.1.正弦波交流
5.2.ベクトル
5.3.RLC回路
5.4.位相
6.三相交流

6.1.三相交流
6.2.三相結線
6.3.交流電力
6.4.三相四線式・単相三線式
                     
参考図書
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5.1.正弦波交流

交流について ある、一定の磁束密度の磁界の中ををよぎるようにコイル(導体)を回転させるとフレミングの右手の法則により起電力が発生する。

その時の起電力は、磁束をよぎる導体の長さと速度により決まる為、以降に説明する様な正弦波となる。

国内で発電している電力はこの原理に基づくため、国内で供給される全ての商用電力、家庭用電力は正弦波交流となる。

太陽光発電など、その他の原理で発電されても、同一送電線に乗せる都合上、正弦波交流電力に変換されている。


起電力E=-d/dt(BS・cosθ)=ωBS・sin(ωt)

ω:一定の角速度
t:時間
B
:磁束密度
S:コイルの(磁場を横切る)導体長さ×回転直径

正弦波交流波形 (電圧)
v=Vm・sin(ωt+θ) [V]

で変化する交流波形となる。(電圧=X軸、時間=Y軸)
v:電圧の瞬時値
Vm:電圧の最大値
ω:角速度(ω=2πf)
t:時間
θ:位相
f:周波数
周期と周波数 T=1/f

T:周期
f:周波数
正弦波交流電流 (電流)
i=Im・sin(ωt+θ) [A]

i=電流の瞬時値
Im=電流の最大値
ωt+θ:位相
位相差 2つの電流
i1=Im1・sin(ωt+θ1)
i2=Im2・sin(ωt-θ2)
において
i1とi2の位相差=θ1−(-θ2)
位相差が負の時、12はi1に対して”進み”となり、
位相差が正の時、I2はI1に対して”遅れ”となる。
平均値 平均値=2/π×最大値
(2/π≒0.637)
実効値 実効値=最大値/√2
(1/√2≒0.707)
ある電力(Im×Vm)の平均電力値((Im・Vm)/2)を構成する電圧と電流値
(Im/√2)×(Vm/√2)=(Im・Vm)/2

一般家庭に送電される”電圧100V”とは実効値であるので、
最大値Vmax=141[V]、平均値≒90[V]が配電されていることになる。
波高率
波形率
交流波形を表す式
波高率=最大値/実効値

波形率=実効値/平均値

5.2.ベクトル・複素数:数学の基礎1A-(1.9.複素数・ベクトル参照)

ベクトル 大きさと向き(角度)を線分で表示した量。

Ia=Icosθ
Ib=Isinθ
I=√(Ia+Ib
θ=tan−1(Ib/Ia)
ベクトルの加算 I=√((Icosθ+Icosθ+(Isinθ+Isinθ

tanθ=(Isinθ+Isinθ)/(Icosθ+Icosθ
複素数 複素数 2つの実数(a,b)の組み合わせで出来る値を、虚数単位(j)を用いる事で1つの数として扱う。この様な数(a+jb)を複素数という。
虚数単位 二乗してー1になる数(J=ー1、J=√(−1))を虚数単位という。
一般数学では、"i"を用いるが、電気では"j"を用いる。(電流"i"との誤用を避けるため)
実部・虚部 2つの実数のうち、y軸方向の数を”実部"、x軸方向の数を”虚部”という。

5.3.RLC回路 (瞬時値・位相の関係は5.4.位相参照)

インピーダンス 抵抗(R) 交流電源電圧v=√2V・sin(ωt)の時 (V=実効値)

i=√2(V/R)sin(ωt)
I(実効値)=V/R
インダクタンス
コイル(L)
インダクタンス(3.磁気(4)電磁誘導参照

交流電源電圧v=√2V・sin(ωt)の時 (V=実効値)

インダクタンスLを持つコイルの誘導起電力e=−L(Δi/Δt)
v=√2・ωLI・sin(ωt+π/2) 
(電圧は電流よりπ/2[rad]進む。
  -->電圧を基準にすると、電流が”遅れ”となる)

I=V/ωL
(I・V:実効値)

ωLを誘導リアクタンスと称しXL[Ω]で表す
XL=ωL=2πfL
(XLは周波数fに比例し、大きくkなるほど電流が流れにくくなる)
キャパシタンス
コンデンサ(C)
キャパシタンス(4.静電気・コンデンサ(3)コンデンサ参照

交流電源電圧v=√2V・sin(ωt)の時 (V=実効値)

コンデンサに蓄積される電荷qは
q=Cv=√2・CV・sin(ωt)

i=√2・ωCV・sin(ωt+π/2)

I=ωCV (電流は電圧よりπ/2進む)
=1/ωL
インピーダンス インピーダンスについて。

(1)インダクタンスLとキャパシタンスCと抵抗分Rの組合せ(電圧と電流の間の位相差・周波数を考慮した値)をインピーダンスと称し、直流回路に於ける抵抗と同等の計算を行う。

(2)インピーダンスを複素数の実部と虚部で表現した場合(Z=R+jX)のXをリアクタンスという。

(3)リアクタンスがプラス(誘導性リアクタンス)の時、電圧は電流に比較して進みとなり、マイナス(容量性リアクタンス)の時、電圧は電流に比較して遅れとなる。

(4)インピーダンスの逆数をアドミタンスという。

(5)アドミタンスを複素数の実部と虚部で表現した場合(Y=G+jB)のGをコンダクタンス、Bをサセプタンスという。
計算の詳細はRLC直列回路参照


計算の詳細はRLC並列回路参照
インピーダンスの合成 合成インピーダンスZは、ベクトル合成で求める。
インピーダンスZ=V/I

合成インピーダンス
R+XL:Z=√(R+X

R+XC:Z=√(R+X

R+XL+XC:Z=√(R+(XーX
RLC直列回路 R+L
R+C
R+L+C
直列共振 上記回路において、
VL=VCつまりXL=XC 
の時、θ=tanー1(0)となり電流 I が最大となる。
この状態を直列共振という。
L=XC --> ωL=1/ωC
--> 2πfL=1/(2πfC)
式を変形してこの時の周波数fを求める。
=1/(2π√(LC))
RLC並列回路 R+L+C
並列共振 上記回路において、
ωL=1/ωCのとき、電流I=Iとなる。
この状態を並列共振という。
直列共振と同様、
=1/(2π√(LC))
が共振周波数。




5.4.位相 (計算式は5.3.RLC回路参照)

抵抗 抵抗のみの回路では、電圧と電流が同相となる。
インダクタンス(コイル) コイルのみの回路では、電圧を基準とすると電流は遅れとなる。
電力値は遅れ向こう電力となる。
静電容量(コンデンサ) コンデンサのみの回路では、電圧を基準として電流は進みとなる。
電力値は進み無効電力となる。
コイルと抵抗の合成回路 コイルと抵抗の合成回路
力率=cosθ
コンデンサと抵抗の合成回路 コンデンサと抵抗の合成回路
力率=cosθ
位相差 電圧と電流の位相差が大きいと、無効電力が大きくなり、有効電力は小さくなる。
皮相電力は変わらない。

有効電力=VIcosθ
無効電力=VIsinθ
皮相電力=VI
力率=cosθ




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